マテック、発寒支店を新規開設
地球環境の負担少ない「クリーンエネルギーリサイクル工場」
 総合リサイクル業大手のマテック(本社=北海道帯広市、杉山博康社長)は11月18日、発寒支店(札幌市西区発寒12条13丁目2‐52、電話011‐213‐7000)をオープンした。15名体制で鉄・非鉄スクラップ、古紙全般、機密書類の処理、発泡スチロールの減容処理を行う。環境に配慮した設備を導入し、「クリーンエネルギーリサイクル工場」として稼動する。

マテック 発寒支店の外観
■地中熱を利用した融雪設備、融雪面積は民間・国内第1位
地中熱ヒートポンプを利用したロードヒーティング
 発寒支店の敷地面積は5719・72平方b。工場建屋の延床面積は3621・51平方b。このうち金属資源事務所棟は1879・05平方b、紙資源棟は1742・46平方bだ。
 同支店の立地は、札幌市西区発寒の札幌鉄工団地。工業地域だがJR発寒駅前に位置することもあり、同支店建設にあたっては、周辺環境への配慮を徹底した。中でも、最も力を入れたのが、エネルギーの分野だ。自然エネルギーを積極的に利用する工場となっている。
 まずは、地中熱ヒートポンプを利用した事務所棟冷暖房設備とロードヒーティング設備の採用だ。
 地中熱ヒートポンプとは、年間を通して10〜17℃で安定している地中熱を熱源として、冬は暖房に、夏は冷房に利用する。今回導入した地中熱ヒートポンプメーカーによると、地中熱ヒートポンプ暖房のCO2排出量は「ガスボイラーの約3分の2、灯油ボイラーの約2分の1、電気ボイラー・蓄熱暖房機の約4分の1」となるという。
 これを事務所棟の冷暖房に利用する。また同支店では、「ボアホール」と呼ばれる採熱管の総長は7120bにおよび、同支店の建屋以外の部分のロードヒーティングに利用する。
 敷地床面の温度を1℃に保つことで、雪を溶かし、安全で効率の良い作業を実現する。地中熱ヒートポンプを利用した融雪面積としては、民間・国内第1位を誇る。
 また、工場屋上に太陽光発電設備(43・32`h)を設置。発電した全電力を売電する。地中熱ヒートポンプ、太陽光発電の稼働状況は事務所棟に設置されたモニターで常時チェックできる。
 さらに同支店では、北海道で初めて鉄スクラップ加工処理設備を建屋内に設置した。マウントシャーに防振設備も導入し、騒音、振動対策を図っている。
■北海道初の建屋内加工処理、支店周辺の環境に配慮
1,250tマウントシャー(富士車輌製)
古紙圧縮用180馬力ベーラー(昭和製)
 
スクラップハンドラー(リーブヘル製) 
 同支店の建屋は2棟あり、正面に向かって左に金属資源事務所棟、右に紙資源棟が建つ。

 北海道では、広大な敷地をいかした設計の金属リサイクル工場が多く、一般的に油圧シャーやプレス機などの鉄スクラップ加工処理設備は屋外で稼動している。しかし同支店では、周辺環境に配慮するため、道内で初めて工場建屋内で鉄スクラップの加工処理を行うこととした。加工処理を屋内で行うことで、騒音や振動を防ぐことができるようになった。
 また、工場屋外も全面をコンクリート舗装し、ロードヒーティングを施したことで、積雪の心配もなく、車両の取り回しの際などでの安全性も確保した。またそうすることで、砂塵などの飛散も抑えられる。
金属資源の加工処理
 金属資源事務所棟に導入した主力リサイクル設備は、富士車輌製の1250dマウントシャーだ。省スペース・省エネルギーを実現したモデルで、同支店のコンセプトに最もマッチした加工処理機械だ。さらに防振設備を取り付けている。
 同機は、材料押さえ能力の高さなどから、大型スクラップから下級スクラップまで幅広く対応しているのも特長の一つ。また、山型刃の採用で短時間の加工処理が可能となっている。
 金属スクラップの荷役を担うのは、リーブヘル製スクラップハンドラー(1台)のほか、2台のバックフォー(マグネット)だ。作業効率の高さと安全性の確保、必要な場合に屋外での作業も可能なことから、この3台の重機を選択した。荷おろしから、油圧シャーへの鉄スクラップの投入、荷揚げまでをこの3台の重機で行う。
 札幌市内という好立地のため、納入先の電炉メーカーが近いほか、他の支店や湾岸ヤードなども近く、連携した対応も可能。支店単体ではなく同社のネットワークをいかしながら、積極的な運営を進めていく計画だ。
紙資源の加工処理
 紙資源棟の主力設備は昭和製の180馬力ベーラー(SW770DB油圧ジャンボプレス機)だ。古紙全般の圧縮、梱包を全自動で行う。ダンボールの圧縮率は5分の1。ダンボールの場合、1時間あたりの15dの圧縮が可能だ。新聞・雑誌などはカラミつきが悪いため、一軸ハンマ型の攪拌機で攪拌処理して調整する。最終工程の結束は昭和が独自開発した番線結束装置。結束ミスがほとんどないほか、一梱包あたり2・5bの番線を節約できる。
 また、紙資源棟2階に二軸シュレッダーを導入し、機密書類の処理も実施する。作業室はロックがかけられ、作業中は担当者以外の入室はできない。また、作業状況をテレビモニターでチェックでき、機密書類の処理を確実に行ったことを、依頼主に証明する必要から録画することも可能だ。また1階には、発泡スチロール減容機を設置し、減容処理を行う。
 その他、重機として、タイヤショベル、フォークリフト、車両として11dヒヤブ車、4dユニック車、パッカー車、4d箱車を導入した。
■会社や家庭の資源も回収 「じゅんかんコンビニ24」を併設
じゅんかんコンビニ24 発寒店 
 同支店にはさらに同社が運営する「じゅんかんコンビニ24 発寒店」を併設している。大平店、手稲富丘店、西岡店、釧路店、マテックプラザ店に続く6店舗目だ。「じゅんかんコンビニ24」は、家庭や会社で不要になった資源物を誰でも自由に1年365日、24時間いつでも持ち込むことができる集荷拠点。
 持ち込むことができるリサイクル品目は、新聞紙、雑誌、ダンボール、携帯電話、パソコン、金属製品、小型家電、スチール缶、アルミ缶、ペットボトルなど。受付、軽量などは全自動で行う。
 会員登録し資源物を持ち込むと、持ち込み重量などに応じてポイント「リサイクル貢献度」が付与され、「貢献度」が一定になると「貢献レベル」が上がる。レベルアップごとにアンケートに答えると、お礼として商品券(500円分)がもらえる仕組みだ。
 同社によると、すでに既存店では地域企業や住民に広く認知されており、持ち込む人も増えている。発寒店でもオープン初日から資源物の持込がみられた。
 同社の杉山博康社長は、発寒支店オープン初日に催された竣工祝賀会で「当社は『I LOVE RECYCLE』を理念に掲げています。この分野で社会の役に立つことが当社の考えです。その一環として発寒支店で、地中熱ヒートポンプや太陽光発電など自然エネルギーの積極的に活用する設備を取り入れました。自然エネルギーを活用する先陣となって、他にいい影響を与えられればと思っています」と挨拶した。同社の理念を具現化した発寒支店が本格稼動に向けて動き出す。
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